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板倉構法でつくる、日本家屋の懐かしさが残る家-逗子市T様邸

築77年、生まれ育った家、先代から受け継いだ家を残しつつ、全面耐震改装。たくさん詰まった思い出を継承しながら「自然素材だけ」にこだわった家が実現。

お引渡しから約3年、逗子の自然ゆたかな山間、自然に囲まれたとてもオープンなところにあるT様のお宅にお伺いしました。親子4人とお母様の5人住まい。曾祖父様の代に建てられた家は築77年。建て替えを考えたきっかけや、住まいや暮らしに対するこだわり、改装してからの暮らし等についてお聞きしました。

  • 上)南東側は大きく開いているのでベランダからの景色は最高です。外壁はリシンですが、?き落し仕上げなのでパターンが表情豊かでおもしろい。完成後3年たったとはとても思えないほどきれいでした。
  • 左)逗子市の指定保護巨木でもあるこのクスの木はご主人が生まれた時からあるという思い出の詰まった木。周囲5メートルはあるでしょうか。ど迫力です。
  • 右)昔の面影を残した南の玄関と縁側。これこそ古民家の醍醐味です。使い勝手を考えて、建具をアルミサッシなどもっと軽いものにするという選択肢もありますがやはりこういった景色は残しておくのが正解だと思わされます。
  • 上)右側が既存のまま残した和室部分で、左が板倉構法で改装したリビングです。
  • 左)玄関の土間には瓦をデザイン的要素として再利用しました。処分されずに使われた瓦たちは姿を変えて活躍しました。
  • 右)リビングから2階へ上がる階段はお住まい手様の希望であえてスケルトンで手摺もなし。オシャレで、やはり手摺が無い分開放感があります。飾ってる小物もかわいいですね。くれぐれもお気をつけて昇り降りを・・・
------家を建てようと思ったきっかけは?
「築77年の家は曾祖父がたてた家で、台所は土間、水周りも古くなっていたので、床下や地震に対する強度が心配でした。やはり家自体が全体的に古くなっていて、個室が無いつくりだったので、将来性も考えて、建て替えようと思ったのが7年程前でした。」
-----建て替え計画はどのようにされたのですか?
建て替えを思い立った当初は、今の家を完全に撤去して新築するつもりでした。しかし、7年間色々な本を読んで家や暮らしについて勉強して出た結果が、『受け継いだ今の家(骨組み)を残し、健康な素材だけで増改築する』ということでした。
色々な本を読んだり、専門家の話を聞く中で、『古民家は安全だ』ということに気付き、新築するのは止めて、既存の家を100%活かす方法を選びました。
------J・A・Cを知ったきっかけは?
「色々な著書を読んでる時に古民家再生を専門的に手がける中善寺紀子氏ことを知り、建て替えの相談をしました。提案していただいたプランがとても気に入り、その中善寺氏の紹介で施工をお願いしました。」

当時、秦野市で別の古民家再生工事をしていました。中善寺氏にも気に入っていただき、Tさまの紹介を受けました。当初から私どもが推奨していた板倉構法を古民家再生と融合させる新しい方法にチャレンジするきっかけをいただきました。

------契約までの間に他社と比較されたと思いますが、なぜJ・A・Cに決めたのですか?
「殆ど比較はしませんでした。信頼していた設計士さんの紹介だったので、まず間違いは無いだろうということと、7年間研究して出た答えがこれだったので迷わず決めました」
  • 左)階段を下から見上げるとむき出しの梁組みが姿を現します。古民家再生で一番の見せ場かもしれませんね。
  • 中)こちらがご主人が「木」にこだわったお風呂です。「一番好きな場所」(ご主人)
  • 右)脱衣所も全面杉張りです。無垢材だと冬も冷たくなくていいですよ。
------どんな家にしようと思い、それは何%くらい実現しましたか?
「今の家を残し、水周りを直したかったです。(奥様)」
「以前、他社のモデルハウスなどを見学したときに、入ったとたん目がチカチカしてとてもいられなかった経験から、『化学製品を使った家には住めない。今の家を残して、自然素材だけでつくろう』と決心しました。」
「理想は120%実現しました。」
------これから家づくりをする人へアドバイスを
「古民家を残してほしい」(ご主人)
「再利用、もしくは土に還る素材を使って家づくりをしてほしい」(奥様)
------お引渡しからおよそ3年経ちますが、住んでみていかがですか?
「キッチン、水周りはとても使いやすく満足しています」
「お風呂は木にこだわりました。最高。一番好きな場所です。」

奥様はキッチンの計画をするにあたり、以前は土間だった床に、原寸大に切った紙を敷き、実際にその周りを歩いたりしながら使い勝手を研究されたそうです。奥様のキッチンに対するこだわりには、つくり手側の私どもも関心させられました。

  • 左)奥様が床に新聞紙を広げて原寸設計してまで、とにかくこだわったキッチンの出来は大満足との事でした。(奥様)
  • 右)ちょっとした書き物や読書などに使う机は、お施主様お手製。
    • 左)縁側はそのままの形で残しました。
    • 右)奥様がこの家で一番好きな景色がこのリビングに座って和室側を眺めた景色だそうです。
        • 左上)このような模様ガラスも古材の魅力の一つ。出来る限り残していきたいものです。
        • 左下)家の所々に家族の温かみを感じます。取材中、16時ごろお子様が学校から帰宅。お友達を招いて元気よく遊んでいました。
        • 右下)元々はご主人が読書などをする場所として造ったこの屋根裏スペースは今となってはお子様のメインの遊び場に。確かに子供にとっては最高に楽しい場所かも知れませんね。
  • 左)階段をこの場所に設置するためには、既存の梁組みは少し低かったため少し高い位置にホゾを彫りなおし、移設しました。既存の骨組みはできる限り動かしたくなかったものの、階段の位置設計を優先しました。
  • 左)このお宅は目面しく、縁側が北側にもあります。
  • 中)鴨居や長押の仕口部分。ご主人の希望であえて色は着けず、白木のままにしました。昔の大工さんの匠の技を見る事ができます。
  • 右)お子さんが小さい頃につけた手のあと。スリガラスに思い出がひとつ残りましたね。

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