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10 年前には「民家再生」と言っても、その言葉を知っている人はさほど多くはありませんでした。ところが最近では、新聞や雑誌、テレビなどでも普通に取り上げられ、一般の人にも知られるようになっています。時代の変化で歴史や伝統のあるものへの関心が高まってきたからでもあるでしょうし、地球環境への関心や「もったいない」という意識が高まってきたこともその背景としてあると思います。
民家再生をされる方には、二通りあります。一番目は、現在民家に住んでいる方で、先祖から代々引き継がれてきたかけがえのない民家をさらに次の世代に引き継いでいこうという考え方です。二番目は、現在は民家に住んでいないけれども、民家の素晴らしさに心をひかれ、ぜひ自分でも住んでみたいという方です。
民家に住んでいる方でも、これまでは民家は「寒い、暗い、不便だ」としてそれを壊して現代住宅に建て替えることが多かったのですが、最近では民家再生( 現地再生)を選択する方が増えています。これまで「民家再生」という方法があることを知らなかったけれども、民家再生の情報がふえ、再生事例も見ることができるようになって、民家も再生すれば快適に住めることが分かってきたからだと思います。
一方、現在民家に住んでいない人の場合は、民家と土地に手を入れて民家再生( 現地再生) をし、そこに移住するやり方と、古い民家を譲り受けて別の土地に移して民家再生( 移築再生) をするやり方があります。いずれも、民家のよさを発見し、「民家が大好き」になったという人たちです。
民家再生の工程は、基本設計や実施設計を行う設計の工程と、実際のエ事を行う工程に分けることができる。延べ床面積が45 坪程度の民家再生は、おおよそ1年程度の時間がかかる。移築再生の場合はこれ以外に再生する民家を探す時問が必要となる。
古材利用の場合は、古材をどのように活かすか、基本計画の時点で設計者と相談しながら古材を探すことになる。設計には、おおよそ基本設計に2か月、実施設計に2か月程度かかる。最初に行う民家調査は、対象となる民家が再生に値する民家か、建築士が考えている予算内で工事を行うことができるか等を判断するための基本的な調査である。移築再生の実施設計時に行う調査は、実際に再使用する部材や方法を具体的に選定するための調査である。
番付けや解体時にも詳細な調査を行うことがある。番付けや解体は再生工事の直前に、再生工事を担当する大工が行うことが望ましい。実際は、民家所有者の都合により、設計を始める前や、設計途中で解体しなければならないことも多い。この際の保管状態が、後の工事にも影響するので、雨がかからない風通しのよい場所で保管するなど十分注意する必要がある。再生する民家の状態にもよるが、概して移築再生のほうが時問がかかる。新材と組み合わせるために新しい仕口を加工したり、内装用の古材を加工したりする木工事の量の多少がエ期に大きく影響する。
大量生産されるハウスメーカーや在来本法の住宅に比べれば、どうしても民家再生には時間がかかる。この時問をどう考えるかは、その後の生活の質をどう考えるか、子供にどのような家を残すか、住み手の考え方次第といえる。
- 一番は大工の手間の多さです。
一本一本固くなった古材との奮闘、一度外した古材は、ゆがみやあばれが生じ、仕口一つとっても大変な作業です。
民家再生は、外してみると材が腐っていたなど予期せぬことがあり、現場での打合せが多く、余裕を持って工程を組む必要があります。
個人で気長に見つけるのは楽しいが、時間が大変かかります。自分の希望する家を建築家や工務店に探してもらう方が早く見つかる可能性が高いでしょう。
- 1.個人で見つける
- 2.建築家や工務店に依頼する
- 3.古民家を紹介する団体やネットワークから情報を得る
- 4.解体業、不動産業者などに聞く
- 自分が思い描いている通りの古民家が見つかることはまれです。むしろ、自分ならこの古民家をこう活かすと考えるほうがよい。その際、民家の大きさと状態については注意深く考えて決めることが必要です。また、使う材料の事ばかりでなく、ダイナミックな梁や柱の組み合わせ、民家の持つ空間を活かす方法を考えなければなりません。
- 解体を行う前に民家の特徴や傷み具合などの調査をし、再生が可能な民家かどうかの判断をします。
- 古材搬入のための窓の大きさや、階段幅に注意しなければなりません。
- 古材は、解体したままのもの、またほこりや煤を取り塗装までしてあるものなどさまざまです。
その手間、材の質によっても金額もばらばらです。
解体業者からの情報や、JMRA( 日本民家再生リサイクル協会) 古材ネットワークを使うと良いでしょう。
- 大断面木材は、製材後100 ~ 200 年に最も強度が高まるという研究結果が出ています。腐れや虫害を起こさないようにメンテナンスを行っていれば、強度も問題なく大変長持ちします。